ケイカ -桂花-
「で、なに?」

「なに、って事はないけど・・」

「はっきり言えよ、もう」

「最近はどうだ?・・ケイのとこにはよく行ってるのか?」

ん?毎日ではなくなったけど、入り浸っている事、オヤジに筒抜けじゃないんだ。

もしかして、会ってないのか?

そういえばここんとこノロケ話聞いてないかも?

「ケイにフラれた?」

「はは・・・」

苦笑いと照れ隠しの間みたいな顔で笑った。

キモっ、どこがいいんだろケイは、つくづく思う。

耳に残る乾いた笑い声を振り払うようにオヤジに背を向け、玄関を出た。

「あんまり遅くなるなよー」

ドアの向こうでオヤジの声がした。

どっち?

今日?それともケイのとこに行った時?

で、オヤジは結局何が言いたかったのだろう?
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