ケイカ -桂花-
待ち合わせ時間10分前に着いたのに、宮崎はもう来ていた。

「早いね」

「桂もな」

お互い目を合わせてクスッと笑った。

2人っきりで何度も会ってるし、何度もこうやって並んで歩いてるのに、こんなにうきうきしているのは制服姿じゃないからだろうか?

黒のシャツにごつめのシルバーアクセサリーは普段の宮崎のイメージとは違うが、驚くほどよく似合い、少し大人に見せた。

もう一度新たに好きになった気分だった。

「好き」のアップグレードしたみたいに。


「今日は俺に任せて。全部」

きっぱりと言った横顔が、りりしくて男らしくてドキッとした。

だけどその直後に私の方に顔を向け、いつもの少し困ったみたいな、小動物系の目をして自信無げな声で聞いた。

「あ、イヤ、・・かな?」

あー、やっぱりいつもの宮崎だ、この顔、この声、この目。

かわいい、かわいい、かわいい。

そして今日はカッコイイもプラスされてる。
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