ケイカ -桂花-
「ちょっと遠回りになっちゃうけど・・」

うかがう様に揺れるまん丸の瞳に大きく頷いた。


私たちの定位置になりつつあるベンチに並んで座った。

「ここ落ち着くんだよね、なんか俺らの場所って感じしない?」

「分かる。私も好きだよ、ここ」

前はただ時間を潰す場所だったけれど、ここでケイに会ったし、今は宮崎と私の特別な場所になった。

こんな気持ちで座る日がくるなんて、夢にも思ってなかった。

遠くで聞こえていた家族連れの声が聞こえなくなるのと同時に、頭上の外灯が灯った。
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