ケイカ -桂花-
滅多に使わない屋上への階段をこっそり上って、そおっと重いドアを開ける。

なんだか悪い事をしてるみたいな気になって、妙に楽しい。

ラッキー、誰もいない。

宮崎はまだ、か。

雲一つ無い真っ青な空が360度広がり、爽やかな風が吹いている。

学校の中に、こんなに気持ちいい場所があるなんて初めて知った。

ホント気持ちー、空を仰いで大きく息を吸い、

・・・反射的に飲み込んだ。

「・・・・って言っただろ」

誰もいないはずなのに男の声が聞こえた。

しかも怒ってる?

思わず身を縮ませ見渡したが、姿は見えない。

「・・・なさい。・・て昨日も・・なかったし・・・」

今度は女の声。

どうも私のいる、扉のある建物の向こう側に1組の男女がいるらしい。

物音をたてない様に身を潜めた。

なんかモメてるみたいだし・・・。
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