ケイカ -桂花-
シャリッ、と髪の切断された音が聞こえた。

まあ、いいか。

最近美容院行ってなかったし、伸ばしてるわけじゃないし。

ケイは少しずつ、少しずつハサミを入れていった。

「もう少しかなぁ?・・うーん、こっちももう少し・・・」

さっきからものすごく自信無げな言葉が続いている。

目のすぐ前でハサミがウロウロしっぱなしだし。

「ちょっとー、大丈夫なの?」

「だって、ハサミ持つの久しぶりなんだもん」

「一応、プロなんだろー?」

「ちょっと黙ってて」

分かったからハサミ振り回さないでよ、もう。
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