ケイカ -桂花-
床に散らばった短い髪を片付けると、ケイが言った。

「ついでに大掃除するから手伝ってよ」

「えーーー、今から?」

「うん、時間もあることだし」

大掃除って、大晦日でもないのに。

床やガラスはもちろん、壁やイスの裏側まで雑巾がけをやらされた。

いつもきれいにしてるからたいして汚れてはいないけど、言われた通り手を動かす。

愛しさを持って。

私は、ここが好きだ。

狭くて、昼間でも日が入らない暗い場所だけど、何人もの人を変身させ、気持ちまで変えて送り出す。

私もその内の1パーセントくらいは役割を果たしている。

この場所には私のするべき役割がある。

そして何より、ケイがいる。
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