ケイカ -桂花-
「これハナにあげる」

全てを片付け終えると、ケイが缶を差し出した。

お茶の葉が入っている缶だ。

フタを開けるとふわっと甘い香りがした。

「これ桂花茶でしょ?気に入ってるんじゃないの?」

「増えすぎちゃって、もう棚に入りきらないの」

「でも・・・」

「持ちきれないからいいの。
何だって自分の手の中に持ちきれない物は、欲張らない事にしてるから」

なんかちょっとかっこいいかも、私の部屋は使わない物であふれてるし。

「じゃ、もらう、ありがと」

自分の部屋のゴミも捨てろよ、という言葉は飲み込んだ。

ありがとうと嫌味は食い合わせが悪いから。
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