ケイカ -桂花-
特にやる事の無くなった私達は、自然におしゃべりを始めた。

私の新しい髪型のセットの仕方や、アレンジ方法を丁寧に教えるケイはプロの美容師ぽかったし、流行のスイーツの話で盛り上がるのは同級生みたいで、時折人生の格言めいた事を言うのは年上のお姉さんっぽかった。

暗くなり始めた頃、

「今日は忙しくないから、手伝わなくていいよ」

とケイが言った。

「え?せっかく来たんだから別にいいよ」

もちろん働くつもりだった。

「たまには早く帰って家族団欒とかしなよ」



後になってどれだけ後悔したか分からない。

この日のケイの様子に気付かなかった自分に。
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