ケイカ -桂花-
宮崎は小さく息を吐いて視線を下に向けた。

私が差し出した小さな光から目を逸らすみたいに。

「俺はあの中でしか生きられない。宿命ってそういう事なんだ。
桂には分かんないだろうな。まあ、分かる必要もないけど」

宮崎の言葉はずっしりとした重みを持っていた。

今までと、これからの長い人生の重み。

私の力では押しても引いてもびくともしないくらい重くて大きい。

解放してあげるなんて思い上がりもいいとこだ。

「じゃあこれからも勧誘し続けるんだ?」

「そうだね」

頷いた宮崎を見て、更に重みが増した。
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