ケイカ -桂花-
公園に着いたが、宮崎はまだいない。

ベンチに座ると同時に頭上の外灯が灯った。

オレンジの光が私と周辺を柔らかく包み、それ以外を真っ暗に変えた。

「桂っ」

宮崎の声は私の鼓膜をびりびりと震わせ、それだけで涙が出そうになる。

一旦ギュッと強く目を閉じてから、パッと開き声の方へ顔を向けた。

「あ・・・」

びっくりして、それ以上言葉が出なかった。

目を丸くしている私に、宮崎は「変かな?」と言って髪に手を当てた。

「ううん・・」

むしろよく似合ってる。

一瞬、宮崎だと分からなかった。
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