ケイカ　-桂花-
全体に短く切りそろえられた髪。

特に、目にかかるくらいだった前髪は、ばっさりと切った上に立たせ、おでこが全開だ。

服装も前に見た大人っぽい感じじゃなく、年相応で爽やかさ満点。

どっから見ても、爽やかスポーツ少年。

足元にサッカーボールを転がしたら、膝や頭を器用に使って永遠にリフティングとかしそうなくらい。

だけど、宮崎っぽくない。

「イメチェン、みたいな？」

くるっと回って、軽くおどけてポーズを付けて見せた。

これはこれでかっこいいけれど、やっぱり宮崎っぽくない。

以前の宮崎だったら、こんな事はしない。

おどおどと上目遣いで私を見ただろう。

「違う人みたい」

「じゃ、成功かな」

そう言って笑った声と、真っ黒の瞳に変わらない宮崎を見つけて、なんとか笑顔を作れた。
< 197 / 219 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop