ケイカ -桂花-
そっか、・・・分かっててやってたんだ。

全部計算で。

恥ずかしそうに目を逸らしたり、上目遣いで見たり、おどおどしたり。

自分のルックスも含めて、どう見えるか、全部分かってたんだ。

私は、まんまとその作戦にはまった。

最低、そう叫んで嫌いになれたらどんなにいいだろう。

もう少し浅い好きだったら出来たのに。

それをするには、私は好きになりすぎてる。

デートをリードする大人っぽい宮崎も、素直な笑い顔も、そして背負った宿命も、知ってしまったから。

母性本能作戦だって、普通は騙されたって思うとこなのに、逆に好きが大きくなっている。

宮崎を強制的にそうさせている絶対的な力が、透けて見えるからだ。

出来るなら私が宮崎を救い出したい。

そして、その力が届かないうんと遠い所で本来の宮崎の人生を、15歳の普通の人生を送らせてあげたい。

たとえそこに私がいなくたっていい、本気で思った。
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