ケイカ -桂花-
「爽やか路線?密かに筋トレとかしてるんだ」

チェックのシャツの袖をまくり上げ、丸く盛り上がった力こぶを見せて笑った。

知ってるよ、私を抱きしめた時、力強い腕の感触を覚えてるから。

あれはもう既に筋トレの成果なんだ。


「きっと上手くいくよ。母性本能をくすぐるのも上手かったし」

私ってMだったんだ、初めて気付いた。

「そうかな?」

「目線とか絶妙で。どうやるの?」

そんな事聞きたくないのに。

「簡単だよ」

「私も出来るかな?」

平気な顔で答える宮崎なんて見たくないのに。

「女の子は全員出来るよ。いわゆるぶりっ子ってやつ」

「マミみたいな?」

自分で言いながら、言葉を発する度にどんどん胸が痛くなっていく。

「そうそう。俺すっごい参考にしてたし」

無邪気な笑顔が痛い、痛いよ。

耐えられなくらいに、痛い。
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