ケイカ -桂花-
最初それが人だと分からなかった。

ゆっくり顔を上げると、私の顔よりずっと上にボウズの大きな顔があった。

「ひっ・・・」

2メートルくらいありそうな大男。

縦にも横にも大きく、道をすっかりふさいでる。

白いランニングに、茶色の短パン姿は絶対に普通の人じゃない。

全身からじわっと汗が吹き出るが、ゾクゾクと寒気がする。

1歩、2歩、私の後ずさりに合わせて、大男も距離を詰めてくる。

ヤバイっ、後ろは行き止まりだ。

だけど前にも行けない。

誰か助けてっ。

のどに何かが詰まってるみたいに声が出ない。

見つめた大男の口が動いた。

やだ、怖い。
< 52 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop