ケイカ -桂花-
「今日はいいわ」

手を休めず、即答した。

え、断られるなんて想定外だよっ。

「なんで?」

「忙しくないし」

全くもって、素っ気無い。

「じゃ、じゃあ、忙しい時だけのバイトってどう?」

「忙しい時だけ、かあ・・」

やっと手を止めてこっちを向いた。

おっ?

だけど、ちょっと考えて、首を横に振った。

「それは助かるけど、忙しいかどうかは直前にならないと分からないんだよね・・」

「それで、いいよっ」

くい気味に言った。

「ホント直前だよ?前日の夜か当日にならないと・・・」

「分かった時点で連絡して。それでいいだろ」

やっとOKしてもらって、携帯番号とメールの交換をした。

やり方がわからないという赤外線通信を「オバサン」と言いながらやってあげて、最後に「でも私がたまたまヒマな時だけだからね」と負け惜しみみたいに言った。
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