ケイカ -桂花-
それからの私は、彼氏からの連絡を待っている乙女みたいだった。

お約束みたいに、肌身離さずで、常に気にしていた。

ただケイの名前と番号が表示された画面を見ているだけでも良かった。

登録のグループは、迷った挙句に新しく作り、一旦愛人と入力したのをすぐ消して、「トモダチ」と入れた。

「トモダチ」グループはもちろんケイ1件のみだ。


まあ、すぐには鳴らないと思ってたけど、3日も経つともう永遠に連絡は来ないような気になった。

シビレを切らした私は4日目、ケイの店に行った。

前回の帰りにしっかり道は覚えたから、今日はすんなりたどり着いた。

中でケイが床に雑巾をかけている姿が見える。

「なーんだ、ヒマすぎてつぶれたのかと思ったー」

今日一日かけて考えたセリフを、ドアを開けながら叫んだ。
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