ケイカ -桂花-
「このお茶って何?緑茶?」

まだ頬を膨らまして唇をとんがらせてるケイに聞いた。

「中国茶。いい匂いでしょ?ケイカ茶っていうの」

パッと表情を変え、ちょっと自慢げなのが子供みたいでおかしい。

「ケイカ茶?ふーん、初めて聞いた」

「知らないの?」

バカにしたみたいに、クスッと笑った。

何?それってそんな有名?

「ハナのお茶よ」

「ハナ、って私?それとも咲く花?」

今までの人生の中で何回このセリフを言ってきただろう、ああ、メンドくさい。

今度はにっこり笑って、勿体つけるようにゆっくり言った。

「ケイカのケイは桂(かつら)、カは花(はな)。桂 花のお茶。ね?」

「うっそー!!」

私のフルネームは、桂 花(かつら はな)。

そんな名前のお茶があるなんて!

改めてお茶を口に含んで、味を探りながら飲んだ。

なんか、ただのお茶の様な気がしない、なんていうか、親近感、みたいな・・・。

だからこんなに落ち着くのかも?
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