ケイカ -桂花-
放課後、トイレに行ったり、携帯をいじってるフリをしながら、教室から誰もいなくなるのを待っていた。

音楽の後、宮崎の観察は中止した。

というか、意識してしまって見れなくなった。

だから私の勘違いかもしれない。

何かの拍子に、たまたまあのサイズの紙が紛れ込んだだけなのかもしれない。

だけど。


教室から、人の足音と気配が完全に消えるまで待って、静かに携帯を閉じる。

少し、ドキドキしてきた。

ゆっくりと立ち上がって、

体ごと横を向く-----


いた。


宮崎が、いた。


この前と同じ場所に、壁にもたれて座り、この前と同じ目を私に向けていた。
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