ケイカ -桂花-
初めてこんなに近くで見た宮崎の目は、いつもの頼りない感じと同時に力強さを持っていた。

少なくともここ数日間の観察の中で、見た事の無い目だった。

とりあえず冗談ではなさそうだ。

本気?

じゃあそれはどの程度?軽いのか、重いのか。

見極めようと、じっと見ても混乱するばかりだ。

くっきりとした輪郭は完璧なアーモンド型でとてもキレイだった。

吸い込まれそうな気もするし、決して触れられないような神聖な感じもする。

探ろうとしてもスルっと手の平からすり抜ける感触。

はかなさとたくましさ、正反対の両方が別々に存在している瞳に、不安に似た恐怖さえ感じる。

だけど目が離せないでいる。

目の中で大部分を占めた黒色は、あらゆる物が詰まった宇宙みたいにも、また、何にも無い空っぽにも見える。

情熱的にも冷淡にも見えた。

心がざわざわする。

これが好きってことなんだろうか?
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