ケイカ -桂花-
放課後、グループのDに適当に言って、誰よりも早く教室を出た。

もうこれしかない。

校門近くで木の陰に隠れて待つ。

校庭では運動部が活動を始め、下校の生徒が校門をくぐって行く。

グループの4人が通り過ぎるのを息を殺して待つ。

そして・・・、来たっ。

宮崎。

・・・と谷口も一緒か、あれ谷本だったっけ?

どっちでもいい、だけど、一人じゃないのはよくない。

みんながいる教室で、宮崎に「ちょっと来て」なんて私には無理だった。

だから帰り道に呼び止めて、言う。

「YES」って。

もう自分の心の中だけで留めてはおけないくらい、あっという間に大きくなってしまった。

宮崎にも半分持ってもらわないと、私の手には持ちきれない程に。

いつか偶然2人っきりになるチャンスを、悠長に待ってなんかいられない。
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