ケイカ -桂花-
少し間を空けて宮崎達の後を追う。

幸い周りには何人もの生徒がいて、目立つ事は無い。

しばらくすると谷口と別れ、宮崎一人になった。

よし、今だっ。

あ・・・。

私が声を掛ける一瞬前に、誰かか声を掛けた。

「たろうちゃんっ」

かわいいっ、って言ってるみたいな甘い声が私の所まで届いた。

背の低いツインテールの女の子が、宮崎の行く手を阻むように立っていた。

私と同じ制服だけど、胸のバッチの色は1コ下だ。

年下にちゃんづけで呼ばれるって、どうなの、宮崎。

立ち止まった宮崎は、落ち着き無くカバンを持ち替えたり、髪を触ったりしていた。

あーあ、困ってる、困ってる。

挙動不審、おどおどしすぎだって。
< 89 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop