ケイカ -桂花-
「マミのー・・・でねっ、マミはぁ・・・」

甘ったるく鼻にかかった高音の声は聞き取りにくいが、「マミ」だけはハッキリ聞こえた。

首をかしげて上目遣いに覗き込む姿はここから見ると滑稽だけど、宮崎の目にはかわいいって映るんだろうか?

・・・いや、映ってないな。

だって、上や下にと頭がせわしなく動いてる。

マミと目が合わないように視線をずらしているのが後姿でも分かる。

そういう所がかわいいって思わせちゃうんだよねー。


げっ・・・。

宮崎の視線の行き場が無くなったのか、こっちに向けられた。

目が、合った。

そして宮崎の困った顔が助かったっていう笑顔になって、右手を挙げた。

「桂ー」

げげっ!

今、呼ぶ?

その状況で、そんな顔で、そんな声でーー?
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