きみと、もう一度

 今坂くんの妹は、今年で八歳になるらしい。年が離れていてとてもかわいいんだ、と頬を緩ませた。

両親もとても仲がよく、みんな誕生日にプレゼントを準備をするらしい。わたしの家は母の日と父の日くらいだ。

 幼い妹にはどんなプレゼントがいいだろう、と今回の目的に話題が変わると、わたしの「アクセサリーとかかなあ」というたった一言で決まってしまった。こんなあっさり決めてしまっていいのかと不安に思う。


 ご飯を食べて、食後のホットミルクティーを飲み干して店を出る。相変わらず天気はよく、今日は歩きまわると少し暑く感じるくらいだった。この時期はひどく寒かったり突然暖かくなったりする。

「大塚は、どんなアクセサリーがが好き?」

 歩きながら問われてうーんと首をひねってみた。けれどヘアピンを使っていたのは中学生から高校一年生の間くらいだ。

髪の毛が伸びてからは必要なくなった。邪魔なときはヘアバンドをしていたし、家にいるときは普通のなんの飾りもついていないヘアゴムで前髪と後ろで括っていただけ。

 今の好みで答えるのは違うよね、と自分の持っていただろうヘアピンの柄を思い出す。

「星、とかかなあ……」

 特別好きなわけではないけれど、なんとなくぱっと思い浮かんだものだった。「星かあ」と今坂くんはなぜか何度も「そっか」と答えていた。

 ショッピングセンターに着くと一番にヘアアクセサリーのお店に向かった。もしかして、だいたいを買うかは決めていたんじゃないかと思うほど、彼は迷うことなく幾つかのヘアアクセサリーを選んで手に取ってすぐにレジに並んだ。

その中にはわたしの言った星柄も含まれていた。今坂くんの妹が気に入らなかったらどうしようと不安になるけれど、変なものではなかったから、少しでも喜んでくれるといいな、と思う。

 あたりを見渡してみると、今のわたしと同い年くらいの学生が多い。

女の子だけのグループが圧倒的に多いけれど、男女のペアも何組か見つけることができる。みんな彼氏彼女なんだろうか。もしくは両思いの友だちなのか、ただの友だちなのかは一見わからない。

しばらく見つめていると、恋愛感情が含まれたものなのかどうかは、ふたりの目元やしぐさでなんとなく察することができた。
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