きみと、もう一度


「今は無理かもしんねーけど、謝り続けたら数年後は許してくれるかもしんねーじゃん。状況が余計悪くなったって、今のお前が決めたことなんだから仕方ないだろ。間違ってたらまた謝れよ」


 とってもシンプルな答え。

 すうっと地面に水が染みこんでいくみたいにわたしのなかに溶け込んでいく。

彼のはっきりした口調は、本当にそうかもしれないな、とわたしに思わせてくれた。今は無理でも、また、がある。また、を自分で作っていくことが、できる。


 転んだら立ち上がるように。
 傷ができたら治すように。
 涙を流して拭くように。

 時間が進んでいるから、できることがたくさんある。同じことを何度したっていい。

 こくりと頷くと、満足気に彼は笑った。普段はつり上がっている目元が少し、垂れ下がる。わたしの知っている幸登よりも幼くい笑顔は、木漏れ日のようにきらきらと光って見えた。
 
 いつの間にか、日が沈み始めて頭上の空は茜色に染まり始める。

 体は芯まで冷え込んでいるけれど、泣きはらしたせいか目元は熱を帯びていた。一日の終わりを告げるような今日一番の冷気をまとった一陣の風が腫れたまぶたをひやりと撫でて通り過ぎていく。


 ぬるくなった缶コーヒーは、口にすると苦くて美味しくて、二十歳の自分を感じた。
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