悲しみの狂想曲
目を開いた。
場所は病院ではなくて、自分の部屋のベッドの上。
体のどこも、痛くない。
あぁ……、
きっと、さっきのは夢だったんだ。
死んでいなくて良かった、と思いながら無意識に窓の方へと視線を向けた。
「……ぇ…?」
声が震える。
表情が凍っていくのが、自分でも分かった。
「……ぅ…、そ……」
空は真っ暗。
きっと夜なのだろう。
でも、驚いたのはそこではない。
いつもの町並みに付け加えて、
大きく真っ赤な月が、見慣れた町を照らしていたから。