悲しみの狂想曲





ベッドから跳び起きる。


何かが、不安でたまらない。


ドアを乱暴に開き、階段を急いで下りた。





「お母さん…っ!!」


キッチンにいるはずの母を呼ぶが、返事はない。


それに、おかしい。

家中が薄暗くて、人が居る気配もない。

このくらいの時間なら、父は仕事から帰っているはずだし、母は夕飯を作っている時間。

姉だって学校から帰っている時間のはずだ。




それなのに、



「お父さん!!…お母さん!!おねーちゃん…!!
誰か居ないの…っ!?」




トイレ、風呂、リビング、両親の寝室。

家中を走り回りながら、家族の名前を呼びながら次々に扉を開いていくが


誰もいない。







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