悲しみの狂想曲
下りた階段をまた上る。
まだ見ていないのは、自分の部屋の向かいにある、姉の部屋だけ。
「おねーちゃん!!」
悲鳴に近い声で姉を呼びながら、扉を開いた。
……居た。
大好きな大好きな、私の姉が。
でも、様子がおかしい。
壁に向かって、何かぶつぶつと話している。
「おねーちゃん…?」
姉の肩に触れた。
…………はずだった。
触れようとした麻奈の手は、姉の肩を擦り抜けた。
「………ぇ…?」