キミのトナリ





「ただいま―♪」
陽菜が玄関を開けると






「あれ




早かったね?」
とリビングから顔を出す




リビングから何か
ふわっと美味しそうな匂いがして



すぅ―と匂いを
吸い込んでみる




あ!



分かった!!




「ママ!



ケーキ焼いてるの?!」



うん!とママは頷く






やった―!








「でもママなんで
急にケーキなんて焼きだしたの?」





たまにしか作らないのに…





は!




ママなんか企んでるんじゃ?!





「ママね



陽菜に同窓会ついてきちゃだめっ
て言われたから





ケーキ焼いて
みぃ―なに持っていってもらおう
と思って!」




「ママ…




今作る必要ないのに」





ママは生クリームを
泡立てながら




首を傾げて頭の上に
はてなマークを浮かばせる





「同窓会明明後日だよ?



分かってるママ?」



うんとママは笑顔で頷く




「焼きたての方が
美味しいでしょ?」



うんとママはまた笑顔で頷く




「じゃあなんで
今作るの?」





ママは

やっと気付いたのか
はっ!と口を開ける








はぁ…


陽菜はため息をつく




ママの天然さには
毎回毎回びっくりしてしまう








「違うの!




これは試作品なの!!」
ってママは慌てて言い直す





このママの子供みたいな言い訳には








…びっくりを通り越して
もう呆れてしまう





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