キミのトナリ

2010*08*15




2010*08*15
*hinaside



「ちょっと待って!!」
陽菜は玄関を出ようとすると
ママに止められる





「これママの代わりに
持っていって…」




ママは冷蔵庫から
今朝焼いたまだ少し
あたたかいケーキを


キッチンから持ってきて
陽菜に渡す







「いってらっしゃぁい」





ママはひっくひっくと
しゃくりをあげながら泣く






「ママ

非常にいきづらいんだけど」





どう収集をつければ
いいか分からなくなって









とりあえずママから
ケーキを受け止って





ママをなだめる






「ママ取り合えず


泣き止んで」




うん、うん
とママは頷きながらまだ泣いている






「ママ



ちゃんとケーキ
みぃ―なに渡すから」




うんとママは頷く




「みぃ―なの写真
いっぱいとってきてあげるから」





うん、うんとママは頷く





「みぃ―なに
今度うちに来るように言っとくね」




ママはうん、うん、うん
と三回頷いてから



やっと涙を止める







…なんて手の掛かる
ママだろう






玄関の前を通りゆく人も
涙ぐんで陽菜とママを見ている








端から見てたら
ドラマであるみたいな親子の
感動のお別れのシーンみたいに
見えるのだろう





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