キミのトナリ














陽菜の所へ戻ると
今度はたこ焼きを右手に
左にはクレープを持っている







何だかその光景に
ため息をつきながらも
微笑ましくて笑顔になってしまう






「隆太


早かったね」
と陽菜は何事もなかったように
たこ焼きを口に入れたまま言う





「…陽菜



口に入れたまま
しゃべるのやめようか」




「うん


やだ」
と陽菜はクレープを
口に入れる





たこ焼きにクレープ
食べてきもちわるく
ならないのか不思議だ








…自由だなぁ







陽菜を見てたら
この先何があっても
もう大丈夫な気がしてくる







バ―ンっと上の方で
音がなって見上げると
ちょうど花火が始まったとこだった







「…花火だぁ」
って陽菜は食べるのをやめて
見上げる






陽菜の横顔を見てたら
急に僕の方を見て言う







「来年も
一緒に見れたらいいね」
って陽菜は可愛い事を言う






「もちろん



来年だけじゃなくて
再来年も




…おじいちゃんおばあちゃんに
なっても」




自分で言って
後から恥ずかしくなる





これじゃまるで
プロポーズしてるみたいだ









もう陽菜はすっかり
花火に夢中になっていて

聞いてなかったみたいで




何も言わず花火を
幸せそうな顔をして見ている







…良かった


聞いてなかったと
ちょっとほっとする







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