キミのトナリ






「陽菜」

僕が名前を呼ぶと
なあに?と振り向く


「好き」って言葉が
思わず口から出そうになって



「…なんでもない」
と言い換える





僕は陽菜を好きで



陽菜が僕の「好き」を
待っているのも知っている






でも、




それでも形にはしては
いけないと思うから




もし、陽菜が
記憶を全て思いだして



あの人のところへ
戻る時





陽菜と僕が恋人という関係じゃなければ






すぐに元の陽菜のいた場所へ







罪悪感におしつぶされそう
になる事もない






申し訳なさだとか
余計なものに

辛くなる事もない






< 19 / 145 >

この作品をシェア

pagetop