キミのトナリ
「陽菜」
僕が名前を呼ぶと
なあに?と振り向く
「好き」って言葉が
思わず口から出そうになって
「…なんでもない」
と言い換える
僕は陽菜を好きで
陽菜が僕の「好き」を
待っているのも知っている
でも、
それでも形にはしては
いけないと思うから
もし、陽菜が
記憶を全て思いだして
あの人のところへ
戻る時
陽菜と僕が恋人という関係じゃなければ
すぐに元の陽菜のいた場所へ
罪悪感におしつぶされそう
になる事もない
申し訳なさだとか
余計なものに
辛くなる事もない