キミのトナリ



「あ!


隆太、向日葵の芽でてる」



「あ、ほんとだ」



僕は飲み干した
スポーツドリンクのふたをしめながら
陽菜が指をさす花壇の方に
目を移す




「嬉しいな~

早く咲かないかなぁ」





「陽菜はなんでもかんでも
気が早すぎ!


夏なんてまだまだ
これからだよ」





「うん


分かってるけど!



嬉しいじゃん

自分の子供が
成長したみたいな気持ちだもん


一生懸命育てたかいがあったな」




「嘘つけ!


僕が育てたも同然だろ
陽菜は植えただけだから」




「…水やりとか
忘れちゃうんだよね」





キミが向日葵を
植えた頃を思い出す



なんか何も咲いてなくて
花壇が寂しいとか言って
勝手に向日葵植えて




「絶対、毎日水やる!」


とか意気込んでて




1週間後にはもう
ほったらかし


最初は夢中になるけど
すぐ飽きて気分屋な





キミらしい






「もうこれ植えてから
2年か…」



「ん?



そうだね~
早いよね」
ってキミは花壇の前に
嬉しそうにしゃがみ込んだまま答える





「…ねぇ、隆太



ひまわりの花言葉って知ってる?」
って陽菜は突然に聞く




「知らない」
って僕が答えると



陽菜は得意気に言う






















「君だけを見つめていたい」








振り向いて
陽菜がじっと目を見て言うから





またキュンとしてしまう







“君だけを見つめていたい”







その言葉が余りにも
今の自分の気持ちにぴったりすぎて





僕が何も言えずに
陽菜を見ていると






「知らなかったでしょ?」
って陽菜は楽しそうに言って
また花壇に目を戻す





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