キミのトナリ






重くなってしまった空気を
入れ換えようと窓を開けると






涼しい風が窓から入ってきて






同時に何かが私の足元に落ちてくる





小さい紙のようなそれを
拾って裏返すと画質の悪いプリクラだった





画質が悪くてもすぐに分かった







ずっ―と仲良しと書かれたプリクラに
写ってるのは今よりずっと若い陽菜と







隆太じゃなくて
こないだ病院で見たあの人


急に胸が苦しくなって



突然に頭に痛みが走る



目の前がぐらぐら揺れる







曖昧でうやむやな



映像がフラッシュバックされる




「…ウソつき」


そう言って涙を流す
私の姿と


「嘘じゃないよ」


必死に私に言う誰か





足が滑って
流い階段を落ちる瞬間



手を伸ばす誰か








途切れ途切れの映像が
早送りで頭に浮かんでは消える











陽菜はその場に座り込む





まるで体が脳が思い出すのを
拒んでるように




何かを思い出そうとするたびに



頭が痛くなって
くらくらして


胸がきゅっとしめつけられる









まだくらくらする頭の中で
陽菜は思う








もしかしたらその誰かが
彼なの…?






もし、そうだとしたら



やっぱり





勘違いじゃなかったんだ





そう思ったら



ほんの少しほっとした




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