キミのトナリ





「できたっ―!」



やっと出来上がった喜びに
陽菜が口に出してそう言うと




寝室から「うるさい!」
とお母さんの声が聞こえる





「ごめんなさい」


とまだ寝ている家族を
起こさないように小さく言う




続けて小さな声で
「行ってきま―す」と言って家をでる





家をでるとちょうど
隆太が迎えに来たところで



陽菜は隆太に手をふる





「朝ちゃんと起きれたんだ?」




「うん





もちろん!

お弁当も作っちゃったもん」




得意顔で隆太に言うと




隆太は笑う





でもその笑顔がいつもと違う気がして





「大丈夫?」


と尋ねる



隆太が「何が?」
と普通に言うから




みまちがいかなと思って
「何でもない」と笑う





でもやっぱり
少し気になって隆太を見ると



「…大丈夫だよ」
と自分に言いきかせてるように
小さくポツりと隆太は言う




不意に手を繋ぎたくなって
隆太の手に伸ばした





その瞬間



隆太の手が震えてる事に気付く








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