キミのトナリ





私はまだ隆太を少し
心配に思いながらも会場に着く







「隆太―」





隆太のチームの人達が隆太を呼ぶ






「じゃあ、行ってくるね」






隆太は少し笑うと
私から手を離す








途端になんだか心配が
さらに込み上げてきて






不安になる






「いってらっしゃい」










と言った時にはすでに
もう居なくて




私はまだあまり人のいない
会場で1人になる








飲み物買いにいこうと
思い立って




自販機まで行こうと
振りかえって












私は立ちすくむ







「あ…」






それ以上に言葉は出なくて
半分以上放心状態なまま
私の目線の先にいるある人を



ただ見ていた





いや、なぜか目が
離せなかった







その人も






驚ろきと言うより
衝撃に近い表情で







私を見ている







しばらくお互い動けずにいると







人が私達の間を通っていって








私はやっと目線を反らす




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