キミのトナリ



「あ、そういえば


こないだ久しぶりに
みっちゃんに会ってきたよ―」




「佐竹さん家のみっちゃん?」



僕がそう聞くと陽菜は
正解!というような
嬉しそうな表情で答える



「そ!



そのみっちゃん」




みっちゃんっていうのは
4年前僕と陽菜のいた
病院のいつもやる気なさそうな
受付のお姉さんの事



「どうだった?」


「相変わらず!」




めんどくさそうに
受付に座ってるみっちゃんが
目に浮かぶ



懐かしい光景に
微笑みがこぼれる


「あんなやる気なさそ―なのに



時々良いこと言うんだよな―」


懐かしむようにそう言うと

陽菜も懐かしそうに
そうそう!と顔を縦に振る


「ね!



みっちゃん隆太に
会いたがってたよ」



「え


まじで


俺もみっちゃん会いたいかも」



陽菜が少し口を膨らませるのが
横目に映る



「ひ―な?」


僕が陽菜を覗きこむと
ぷいっと顔を背ける



そんな陽菜がたまらなく
愛しく思えて



陽菜を抱きしめたくなる




でも僕はそれをぐっと
我慢する





ここはそもそも
僕のいるべき場所ではないから






< 5 / 145 >

この作品をシェア

pagetop