キミのトナリ











何も言えなくて
ただ陽菜はうなずく







「ごめん」







圭が私に頭を下げる






「ずっと謝りたかった





だから、何度も何度も病室に
会いに行った






でも、





いつも陽菜の隣に隆太がいて





楽しそうに笑ってた




あぁもう俺のいる場所は
無いんだと思った


陽菜はもう俺のいない
今を生きてるんだと思ったら


悔しかったし
苦しかったし悲しかった









でも、当たり前だと
思ったよ











陽菜を傷つけた
バチがあたったんだって




もう会う資格さえ
無いんだって」








圭はまた苦笑いをして言う





「でも




それでもずっと会いたかったよ…






陽菜が幸せならそれでいいと思った



でも



もほんの少しでもいいから


憎んでても
恨んでても
何でもいいから




せめて陽菜の記憶の中
にいたかった」









圭はためらいがちに言う



「今だって陽菜の事好きだよ




…今さらこんな事を
言われても困るよね」




“好き”その言葉を
言うのに圭がどのくらい迷ったか
どのくらい悩んだか分かる


陽菜は横に首をふる




「陽菜も圭に
言いたい事があるの…」




陽菜も今度は
圭の目をまっすぐに見る





もう



後悔するのは嫌だ






< 57 / 145 >

この作品をシェア

pagetop