キミのトナリ








私が病院につくと
実際の診察時間は
もう30分もすぎていた






「すいません…」





受付で佐竹さんに
謝ると意外ににこやかで






「小倉先生、先に
他の患者さんの診察してるから






さ、先に話して」







そういう事か

と私は納得する





完全に面白ろがられてる




と思ったけど
あまりにも興味津々な
佐竹さんの顔を見て







何だか話さざるおえなくなって






私と佐竹さんは邪魔に
ならないように




あまり人のいない
ところへ移動する






受付は佐竹さんが
若いお姉さんに押し付けてきたから
問題はない







周りに聞こえないように
私は小さな声で話し始める










「…全部思い出したの」






佐竹さんは別に
特に驚く様子もなく
やっぱりという顔をしている





昨日隆太が来たときに
佐竹さんに何か話したのかもと
聞いてみる



「…隆太に何か
聞いたんですか?」





「いや何も




あの子ってあんまり
人に相談したりとか
話したりとかしないでしょ



ものすごく人に頼るのが
下手だから







でも私になら何か
話してくれるかなって
思ったんだけど





ここに来て私の顔見て
“…やっぱり、いいや”
って何も話さないまま
出ていっちゃって」






「…何も?」




「うん


全く何も



失礼しちゃうよね!」




ムッと佐竹さんが
怒ってみせる





「…なんで驚ろかないの?


って思ったんでしょう」



図星をあてられた事に
驚きながらも
陽菜はうんとうなずく


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