キミのトナリ





「そんなのね―




様子を見てたらすぐ
分かるの!




だいたい何年
あんた達の事見てきたと
思ってんの!!」







得意気に佐竹さんが笑う






「ただ



小倉先生はびっくり
するかもね





少しずつとかじゃなくて
一気に全部思い出されたんだもん






陽菜の脳とか精神的にも
すごく負担がかかるかもしれないし






それに思い出したくないような
辛い記憶だったとして




自分でも気付かないうちに
記憶にフィルターをかけてた
としたら





思い出した時ものすごく
辛かっただろうし



フラッシュバックによって
トラウマになっちゃったりとか
ストレスになる人とかもいるし」







佐竹さんがだんだん
心配そうな表情に変わっていく





ちゃんと心配して
くれてたんだなぁ




と思うとじーんと胸が熱くなって
嬉しくなる










「大丈夫




今までフラッシュバックは

何度かあったけど





それででストレスとかトラウマに
なったりもしなかったし








ずっと知りたいと
思ってた事だから







むしろ










嬉しかったの」







陽菜がそう言うと
佐竹さんは安心した笑顔を
見せてから







「あんなに無理はするな
っていってたのに!!」


と私の頭をぺしっと叩く




たいして痛くもなかったけど
陽菜は頭をおさえて
ちょっと痛がってみると


佐竹さんは
「そんな手にはのりません!」






とまた得意気な顔をして見せる




そんな事をしてるうちに
時間がたってしまって





結局話しがすすまないまま



診察の時間になってしまった






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