キミのトナリ


突然、隣からう~と
泣いてるような唸り声がして





陽菜はぎょっとして
みっちゃんを見る



「み、みっちゃん?



なんでないてんの?!」






「う~


辛かったねぇ…




なんか最近涙もろくて」





とぼろぼろ涙を
流しているみっちゃんを
無視して陽菜は
もう一度話しだす






「本題はここからなの」




と陽菜が言うと





「え!まだなんかあんの?」





とみっちゃんが
涙を止めて陽菜を見る





陽菜は深くうなずいて
話し始める








「陽菜が思い出した
記憶は







実は全部じゃなかったみたいなの」






「といいますと?」






「陽菜は多分この病院に
来る前から




隆太を知ってたみたいなの」






「あぁ、だから



隆太が陽菜と一番最初に
出逢った場所って」






「うん




でも陽菜はその場所が
ここだと思ってた





でも隆太と陽菜はここじゃない
場所で出逢った







それっておかしいでしょ?






だから陽菜の記憶には穴
があるの」





「穴ねぇ…」





とみっちゃんは手を組んで考えこむ





「それと、もう一つおかしな事
があって…







陽菜の記憶に関する
手がかりが何もないの





圭の時も




昔のプリとか写真とか見たの




でもどこにも写ってなかった



隆太もどこにも写ってなかった」







「…ねぇ






それってもしかして
誰かが故意に消した可能性も
あるんじゃないかなぁ」






とみっちゃんが刑事ドラマ
の推理みたいな事を言う







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