キミのトナリ


圭とバスケのプレイが少し
似てるなと思った






フォームが綺麗で
音のない静かで
スマートなプレイ




でも、




この人バスケが
すごく好きなんだなぁって
伝わってくるような







陽菜が見ていると
「…何?」




と彼は動きを止めて
陽菜に聞く


「さっき何か
言おうとしてなかった?」


…ちゃんと聞いてたんだ




「あ…





えと」





話しかけてみたものの
何も話す事を考えてなくて




口ごもると



ふっと小さく彼が笑って






この人こんな風に笑うんだ
と思った




「あの!



バスケすごい上手なんですね」





「いや、全然」




と彼は否定する




それはただの社交辞令
とかじゃなくて



まだまだ全然
上手くなれる



っていう意味に聞こえて
なるほどと圭の言ってた


謙虚だけど
実は熱心な熱い奴



って言ってた意味が
分かって納得する





「陽菜の彼氏も
バスケしてるの」





って言ったら



「うん、知ってる」

って即答された






「…知ってるの?」



「そりゃあれだけ
会いにきてたら

顔も覚えるよ





それにあんた有名だし」




「え


陽菜有名人なの?!」




「…気付いてないの?」




「う―ん




もしかして悪口?!


あの女また来てるよ
こりね―なぁ



みたいな事?!」




彼はまた笑って




「違うよ





まぁそういう人も
いなくはないけど」




「や…やっぱりいるんだ





と落胆する



< 83 / 145 >

この作品をシェア

pagetop