キミのトナリ




「ほんとはさ





陽菜をバスケの試合に
連れてく度





ものすごく不安で
怖かったんだよ





僕のバスケはずっと
真山先輩のバスケを追いかけて
やってきたものだから





それを見て陽菜は自分でも
気付かないうちに
真山先輩と重ねてるんじゃないか




だから僕の事応援してくれて
隣にいてくれるんじゃないかとか





バスケの試合見たら
昔の事思い出すんじゃないかとか




色々考えて




いつか来るとは思ってたけど



真山先輩の高校と僕の高校が
戦うなんてなった日は




気が気じゃなかったよ








でも陽菜が“頑張れ”
って笑ってくれかるから





頑張ろうって思えた」






「記憶を無くしてたから
自分でもよく分かんないんだけど





陽菜は隆太と圭を
重ねた事なんて



一度もないよ







圭は圭だし


隆太は隆太だし







それに陽菜は隆太を見てかに
“隆太”を好きになって





隆太の隣にいたい
って思ったんだよ





それだけは確かだよ」





そっかと隆太はうなずいて





陽菜の手をとって
自分のもとに寄せる








いつの間にか背が高くなった隆太に



抱きしめられると
陽菜はちょうど隆太の
胸にすっぽりおさまる






「こんなにずっと一緒にいたのに
初めてちゃんと抱きしめられた
気がする」





「そうだね




ずっとこうやって
抱きしめたかった



やっと抱きしめられた」



って隆太がいう





「…なんか今さらだね」


って陽菜は言う



隆太はそうだねって
また言って笑う





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