十五の妄影(もうえい)
立ち上がったものの、あまりにも視界が悪すぎる。

再びその場にしゃがみ込み、手探りで足場を確認しながら這って前進。

幸い普通の地面と同じく、足場はしっかりしているようだった。

…それでも奥行き、高さ、距離などの感覚は全くつかめない。

あの妄影の大きさから考えると、こんなに広い筈はないのだけれど…。

そこまで考えてふと思いつく。

確か妄影は、晋作君の内面をそのまま具現化したもの。

そんな風な事を彼が言っていたのを思い出す。

となると妄影の体内も、普通の生物の常識は当てはまらないのかもしれない。

晋作君の内面を投影させた存在、妄影。

ならば妄影は、晋作君の『心』そのものなのかもしれない。

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