十五の妄影(もうえい)
…自嘲する。

今更こんな事考えても、もう詮無い事だ。

「……」

嗚咽する僕を包み込むように、妄影が翼を折り畳む。

慰めるように。

守るように。

…結局僕は、拒絶する事しかしなかった。

僕の事を拒絶する人間が嫌いだったのに、僕がした事もまた、周りの人間を拒絶する事だけだった。

そして誰もいなくなった。

拒絶する人間も、拒絶される人間も存在しない。

僕だけの世界。

僕一人だけの、何もない世界…。

僕を許容してくれない世界なら、壊れてしまえと望んでいたのに。

僕自身がこんな世界を望んでいたのに。

今となっては、その世界が酷く心細かった…。

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