十五の妄影(もうえい)
触手は高々と掲げられる。

勢いをつけて、確実に僕の息の根を止められるように。

「僕が死んでも…妄影、お前だけは一緒だよな?」

今更。

一人である事が寂しくて涙が出た。

せめてこの世から僕が消えるその時くらいは、誰かに寄り添っていて欲しかった。

目を閉じ、大きく息を吸い込む。

同時に僕の心臓目掛けて襲い掛かる、妄影の凶器と化した触手。

その瞬間。




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