十五の妄影(もうえい)
「その後、どうなのかしら?その…」

私は少し言い辛い言葉を口にする。

「お母さんや…元のクラスメイトとの関係は」

「うん…」

晋作君は視線を落とす。

「いじめられる事ももうないし、母さんも昔より僕の事気にかけてくれる…だけど、みんなぎこちないかな…少しおっかなびっくりというか…」

それは…仕方のない事かもしれない。

偏見。

差別。

嫉妬や侮蔑。

人間の持つ醜い心。

いくら心の中を見せ、主張したとしても、人間はそう簡単に変わるものじゃない。

次の日から掌を返したように、はい仲直り、とはいかない。

数年経ったとしても、何らかのしこりは残るものだろう。

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