十五の妄影(もうえい)
午前の授業が終わり、昼休み。

僕は教室を出る。

…昼休みは嫌いだ。

僕がこの教室で一人だという事を、否応なく思い知らされる。

他のクラスメイトが仲のいい者同士集まり、笑い声を上げながら食事をとる中、僕は自分の席で無言に徹して食事するしかない。

食べ物も喉を通らない。

喉の中がくっついてしまったような気がする。

喧騒の中、一人だけの沈黙。

その孤独が耐えられなくて、昼休みの食事の時間には教室を出るようになった。

…三階の非常口。

少し奥まった階段。

生徒や教師の滅多に来ないその場所が、僕の食事場所。

購買でパンとコーヒーを買い、無言の食事を済ませた。

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