十五の妄影(もうえい)
午後の予鈴が鳴る。

僕はギリギリで教室に駆け込んだ。

…その時、いつもと少し空気が違うのに気づいた。

いつものような冷ややかな空気。

無視を決め込むクラスメイト。

それはいつもと変わらない。

その中で時折…いつも以上の突き刺さるような視線を感じた。

明らかに悪意。

嫉妬にも似た空気を纏った、視線。

…初めて向けられる感情だった。

これまでに感じていたのは、侮蔑、軽蔑。

大抵は僕を見下した、下に見た視線。

なのに、嫉妬。

嫉妬される覚えは、なかった。

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