十五の妄影(もうえい)
授業中もそれは続く。

周囲で聞こえる、ヒソヒソ話。

僕以外の生徒達の間で、何らかのメモが行き来しているみたいだった。

何が書かれているのかは、僕の手元に回って来ない以上わからない。

しかしその手紙を見た後の、生徒達の視線。

…嘲りと、怒りと、好奇と、嫉妬の視線。

普段受ける事のないその視線に、戸惑った。

一体どんな内容のメモが行き来しているのか。

大抵の扱いには慣れてきた僕も、この時ばかりは心中穏やかじゃなかった。


< 27 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop