十五の妄影(もうえい)
二十数人の男子に囲まれる僕を、女子のクラスメイト達は無視する。

時折こちらに視線を向ける者もいるが、ほんの一瞥程度。

僕と目が合いそうになると、慌てて顔を背ける。

まるで恐れるように。

汚らわしいものを見てしまった後のように。

関わり合いになるのを避けるように。

そういう意味では、彼女達も僕を取り囲んでいる男子達と変わらない存在だった。

無言の暴力。

視線の暴力。

日向高校に入学して三ヶ月。

僕はずっとクラスで孤立し、こういった精神的苦痛を強要されていた。

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